一般
東京大学マーケットデザインセンターは設立5周年を迎えました

この度東京大学マーケットデザインセンター(UTMD)は、センターの立ち上げから2025年9月1日で丸5年を迎えました。
各企業の連携パートナーの皆さま、教職員および学生の皆さま、すべての関係各所の皆さまに支えられ、無事この節目を迎えることができました。心より感謝を申し上げます。
センター長 小島武仁より5周年のご挨拶
人々の幸せのために社会のしくみをどう作るか。
これは太古の昔から人類が追い求めてきた壮大なテーマであり、いまだ決定的な答えのない難題でもあります。近年、経済学で発展した「マーケットデザイン」という研究分野が、この課題に正面から取り組んでいます。
マーケットデザインは、理論経済学・コンピュータサイエンス・応用数学の知見を統合し、より良い制度設計を理論的に導くだけでなく、データサイエンスに基づく実社会での性能評価、さらには社会実装まで一気通貫で行う“実学”です。私の前任校であるスタンフォード大学をはじめ、世界各地で数多くの社会実装が成功し発展してきました。一方、当センターを設立した2020年当時の日本では、まだ馴染みの薄い分野でした。そこで本センターは、この状況を変えるべく行動を起こし、設立から5年の間に幸いにも多くの成果を挙げてきました。
学術面では、経済学および関連分野のトップ国際学術誌・カンファレンスに多数の論文を発表し、ノーベル賞受賞者を含む多くの研究者を招聘した研究集会を主催するなど、積極的に活動してきました。その結果、世界の研究者ネットワークの中でも当センターの認知度が着実に高まっていることを実感しています。
社会実装では、自治体への新型コロナワクチン配布に関する助言をはじめ、自治体の保育園制度の改革や、自治体・企業の人事制度の設計支援を早い段階から継続して行ってきました。近年は参加組織が増え、スケール化の段階に入っています。さらに、ペットボトルのリサイクル制度や高校入試制度の改革に関する政策提言も発表しており、特に高校入試制度については実現に向けた議論が活発化しています。
このような活動の性格上、当センターでは企業や自治体との共同研究や、社会実装に向けたコラボレーションを広く受け付けています。一方で、ありがたいことに多くのお問い合わせをいただいており、すべてにお応えできるだけの時間や人員に限りがあるのも現実です。趣旨にご賛同いただける皆さまには、スポンサーシップ(ご寄附)によるご支援をぜひお願い申し上げます。
今後とも、当センターの活動にご期待ください。
センター長 小島 武仁
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活動内容のピックアップ
Tokyo Conference on Market Design 2025
UTMDは国際的にも類を見ないマーケットデザイン研究機関として、国内外の研究者から注目を集めております。
2025年6月には、ノーベル経済学賞受賞者のミルグロム教授を始めとした、国内外のトップ研究者によるコンファレンスを開催いたしました。
ERATO 小島マーケットデザインプロジェクト
UTMDの活動実績が評価され、UTMDセンター長の小島武仁を研究総括とする「小島マーケットデザインプロジェクト」が、科学技術振興機構(JST)戦略的創造研究推進事業 総括実施型研究(ERATO)に採択されました。
ERATOは、個人がリーダーとなる基礎研究型プロジェクトとしては国内最大級の規模を誇る、日本を代表する研究プログラムの一つです。世界的に評価の高い研究者をリーダーに据え、その独創的な着想をもとに精鋭の研究チームを組織し、5.5年にわたって挑戦的で先駆的な研究を推進します。過去には、ノーベル賞に結びついた成果をはじめ、世界に大きなインパクトを与える研究が数多く生まれてきました。これまでERATOは主として自然科学分野の研究を対象としてきましたが、ERATO小島マーケットデザインプロジェクトは、プログラム開始以来はじめて人文・社会科学分野で採択されました。
UTMDは、社会実装面でも多様な活動に取り組み、成果をあげています。
公立高校入試の単願制見直しの提案

マーケットデザインに基づく、現行の公立高校入試の改革提案を行っています。
下記の特設ページにて、公立高校入試の単願制見直し(一部メディアでは「デジタル併願制」と呼称)で導入が検討されているDAアルゴリズムについての解説資料をご紹介しています。
人事配属マッチングに関する座談会
シスメックス株式会社との共同研究において、マーケットデザインの知見を新入社員配属の最適化に活用する取り組みを進めています。
プロジェクトの裏側や配属方法の改革が社内にもたらした影響について、座談会形式で情報を発信しています。
【ハイライト動画】
数字で見るUTMDの5年間

私たちは“科学の力で制度をアップグレード”を合言葉に、これからもマーケットデザインの理論研究と社会実装のサイクルを通じて、日々の生活や社会全体を豊かにしていくことを目指してまいります。
今後とも、東京大学マーケットデザインセンターをどうぞよろしくお願い申し上げます。















